財部(たからべ)教授のお金の研究室

お金の基本/第 2 回(全 12 回)

月給 25 万円なのに、振り込まれたのは約 20 万円。5 万円はどこへ消えた?

給与明細を読み、税金・社会保険料・手取りの関係を知る

2026年9月12日に公開約5分で読めます

給料日に通帳を見て「あれ、思ったより少ない」と感じたことはありませんか。求人票に書いてあった額と実際に振り込まれる額は違います。今回は給与明細を一緒に開いて、その差がどこへ行っているのかを確かめていきましょう。

初めての給料日。求人票にはたしかにこう書いてありました。「月給 25 万円」。

ちょっと期待しながら銀行口座を開いてみると、199,000 円。「あれ?」5 万円くらい足りません。会社に取られた? いえ、そういうわけではありません。

ではこの 5 万円はどこへ行ったのでしょう。今回は給与明細を開いて追いかけてみましょう。

「25 万円」がそのまま振り込まれるわけではない

給与明細を見ると、大きく 2 つの欄があります。支給と控除です。支給は会社からもらうお金。残業代や通勤手当もここに入ります。控除はそこから差し引かれるお金です。

たとえば月給 25 万円なら、こんな明細になることがあります。

引かれるもの 金額
健康保険料 12,000 円
厚生年金保険料 23,000 円
雇用保険料 1,000 円
所得税 5,000 円
住民税 10,000 円
合計 51,000 円

25 万円 − 51,000 円。実際に振り込まれるのは 199,000 円です。この実際に受け取れるお金を「手取り」と呼びます。

「まあ、税金でしょ」は半分間違い

ここで「5 万円も税金を取られるのか」と思うかもしれません。でも明細をもう一度見てください。税金は、

  • 所得税 5,000 円
  • 住民税 10,000 円

合わせて 15,000 円です。残りの 36,000 円は税金ではありません。社会保険料です。

つまり給料から一番たくさん引かれているのは必ずしも税金ではないということです。

5 万円は「消えた」のではなく、行き先がある

社会保険料という言葉だけ聞くと、少し難しく感じます。それぞれ何のためのお金なのかを見てみましょう。

  • 健康保険料は病気やケガに備えるお金。
  • 厚生年金保険料は老後などに備えるお金。
  • 雇用保険料は仕事を失ったときなどに備えるお金。
  • 所得税と住民税は、国や自治体のさまざまな仕事や公共サービスを支えるお金。

こうして見ると、「給料から謎の 5 万円が消えた」わけではありません。それぞれ別の行き先へ振り分けられているわけです。

第 1 回では、口座にあるお金を全部使えるお金と考えず、これから何に使うお金なのかを分けて見ました。給与明細も同じです。25 万円という金額だけを見るのではなく、そのうち何が税金で、何が社会保険料なのかを分けて見る。 そうすると、明細がかなり読みやすくなります。

実は会社も保険料を払っている

もう一つ給与明細だけでは見えにくいお金があります。健康保険や厚生年金は原則として会社も保険料を負担しています。

たとえば自分の給与から健康保険と厚生年金で 35,000 円引かれているなら、その裏側で会社側にも保険料負担があります。だから「会社が 25 万円払って、そこから 5 万円引いている」というだけではありません。

実際には会社は、額面給与とは別に社会保険料なども負担しています。 給与明細にはその金額がほとんど見えないだけです。

2 年目に突然手取りが減ることもある

ここは新社会人なら知っておいてほしいところです。1 年目の給与明細にはなかったのに、社会人 2 年目の 6 月ごろから「住民税」が引かれ始めることがあります。住民税は基本的に前年の所得をもとに計算される税金だからです。

前年にほとんど収入がなければ、社会人 1 年目には住民税がほぼありません。ところが翌年になると、1 年目の給料をもとに住民税が計算されます。そのため、給料はほとんど変わっていないのに、2 年目の手取りが減るということが起こります。

「会社に給料を減らされた?」と驚く前に、給与明細の住民税を見てみてください。額面がほぼ同じなら、まず住民税の欄を確かめてみてください。

給与明細は、この 3 つだけ見ればいい

最初から全部理解する必要はありません。給料日にまずこの 3 つだけ見てください。

  1. 支給額はいくら? 会社からその月にもらうお金の合計
  2. 社会保険料はいくら? 健康保険・厚生年金・雇用保険の 3 つを足す
  3. 税金はいくら? 所得税と住民税の 2 つを足す

手取り = 額面 − 社会保険料 − 税金など

という関係で表せます。

「月給 25 万円」をそのまま 25 万円として考えない

求人票に「月給 25 万円」と書いてあっても、毎月 25 万円使えるわけではありません。今回の例なら、実際に使える出発点は約 20 万円です。

家賃も食費も貯金もクレジットカードの支払いも、全部この 20 万円の中から払います。

だから生活費を考えるときは、「給料はいくら?」ではなく、「手取りはいくら?」から考える。これだけでお金の計算はかなり現実に近づきます。

今日の研究結果

月給 25 万円でも、25 万円全部を使えるわけではありません。給与からは税金だけでなく健康保険や年金などの社会保険料も引かれます。その結果、今回の例では額面 25 万円 → 手取り約 20 万円になりました。

給料を見るときは、額面だけでなく「手取りはいくらか」を見る。 まずはそこを見るクセをつけてみてください。

教授のコメント

次の給料日に給与明細を開いたら、控除欄の数字を、税金と社会保険料の二つに分けて足してみてください。自分の明細でどちらが多く引かれているかが分かります。

出典

本文の金額は説明のための例です。実際の保険料率や税額は、住んでいる都道府県・年齢・扶養家族・年度によって変わります。自分の額は給与明細と、勤め先や市区町村の案内で確認してください。

本文の制度の数値は 2026-09-12 に確かめたものです。改定されることがあるので、申込や手続きの前に公式の記載をご確認ください。

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