財部(たからべ)教授のお金の研究室

お金の基本/第 12 回(全 12 回)

「元本保証で年 20%」。登録番号も載っている。それなら安心してお金を渡せる?

投資の勧誘で確かめることと、送金前に相談できる窓口を知る

2026年9月24日に公開約6分で読めます

SNSで見かけた投資の広告。「お金は減りません」と書かれ、会社の登録番号まで載っています。これなら大丈夫と思いたくなりますね。その安心を、何で確かめればよいのでしょう。

10万円が12万円になり、損もしない?

ここからは架空の勧誘の例です。SNSで「10万円を預ければ、1年後に12万円。元本保証」と書かれた広告を見つけました。会社名も登録番号も載っています。「増える額が大きくても、もとの10万円が戻るなら安心では?」と思うかもしれません。

ところが、その広告だけでは、10万円が戻るかどうかさえ分かりません。 なぜでしょう。まず、広告に書かれた約束を分けてみましょう。

広告の約束 金額にすると まだ確かめられていないこと
1年後に12万円 10万円に2万円が増える 誰がどうやって増やすのか
元本保証 もとの10万円は減らない 誰がどうやって保証するのか

「2万円増える」も「10万円を失わない」も、それが本当だと示すものは広告のどこにも書かれていません。

「保証」と書いてあれば、お金は戻る?

最初に出したお金が減らないことを保証するのが、元本保証です。一方、元本に対して利益がどれだけあるかを割合で表したものが、利回りです。例の広告なら、手数料や税金を考えない約束として、1年で2万円÷10万円=20%の利回りをうたっています。

広告では、増える話と減らない話が並んでいます。でも「保証」の文字だけでは、誰が責任を持つのかも、途中でお金を返してほしいときにどうなるのかも分かりません。契約の条件や相手の説明を確かめる必要があります。

たとえば「運用で損をした分は当社が払う」という説明なら、その会社に払う力がなければ約束は果たせません。「独自のAIで必ず利益を出す」と言われても、何に投資しているか、なぜ損をしないと言えるかは未確認のままです。

高い数字を見ただけで、詐欺かどうかを判定する必要はありません。自分が理解できる説明を得られないうちは、お金を渡さない。 相手の説明が本当か調べる前に、相手へお金を預ける順番にしないことです。

でも、金融庁の登録番号があるよ?

金融庁は、お金を扱う会社を監督する国の役所です。投資の仕事の多くは、法律に基づく国への登録が要り、登録された会社には登録番号があります。ただし、登録されていることは、その商品が安全だとか、利益が出ると国が保証しているという意味ではありません。広告の会社名を、金融庁の金融事業者一括検索で調べると、免許や登録を受けた会社かを確認できます。

ここには二つ、気をつける点があります。一つは、登録されている会社でも、投資したお金が減らないとは限らないこと。金融庁も、登録があるだけで安心して投資できる保証にはならないと注意しています。登録は、その会社が国に届け出た印であって、勧められた投資でもうかるという約束ではありません。

もう一つは、広告の相手がその会社の人とは限らないことです。実在する証券会社の名前を借りて、別人がSNSのグループへ誘う手口があります。正しい会社名が載っていても、連絡してきた相手まで本物だとは確かめられません。

少しでも不審なら、広告やメッセージの中の連絡先に頼らず、会社の公式サイトから問い合わせます。証券会社なら、日本証券業協会の会員一覧で会社名を探し、そこから公式サイトへ進めます。本物の問い合わせ先が分からなければ、後で紹介する相談窓口を頼って構いません。

「登録されていた」で確認を終えず、その勧誘を本当にその会社が行っているかまで分けて考えましょう。

みんなが「増えた」と言っているのに?

広告から入ったグループで、参加者が次々に利益の画像を見せてきました。自分だけ疑うのは考えすぎかと、気持ちが揺れます。けれど、その参加者も勧誘する側の仲間かもしれません。

国民生活センターは、グループ内の成功体験を聞いて送金し、最初は利益が出たように見えたのに、最後には引き出せなくなる手口を紹介しています。画面の残高と、自分が取り戻せるお金は同じとは限らないのです。

SNSの投稿や誰かの解説記事のように、他の人を通して得た情報を読むときも、確かめ方は似ています。誰が書いたのか、いつの話か、何かを買わせようとしているのかを見ます。古い運用実績や一人の成功談を、そのまま自分の将来の利益に置き換えることはできません。

知っている人から届いた記事でも、元の発表や商品の説明までたどってみましょう。会社名も確認日も分からず、最後は送金だけを求められるなら、そこで話を止めて構いません。

送金する前にできる三つのこと

  1. その場で送金せず、広告やメッセージを保存する。「今日だけ」と急かされても、一度離れる。
  2. 会社名や登録を公式情報で調べ、保証の条件と勧誘した相手を確認する。
  3. 分からない点が残ったら、勧誘する相手とは別の窓口に相談する。

相談先には、身近な消費生活センターや、金融庁の金融サービス利用者相談室があります。「詐欺だという証拠が揃ったら」ではなく、送金前に不審だと感じた段階で相談できます。

もう払ってしまったら?

すでに払ってしまい、「引き出すには先に別のお金を払って」と言われたときも、追加で送る前に同じ窓口に相談してください。税金や手数料といった名目で請求され、応じてもお金を引き出せなかった事例があります。

詐欺を疑う場合は、すぐに警察へ相談しましょう。銀行振込で払った場合は、振込先の金融機関にも連絡してください。送金ややり取りの記録があれば、何が起きたかを伝える助けになります。

今日の研究結果

「元本保証で年20%」という広告は、10万円が戻る証拠ではありませんでした。登録番号や利益の画像があっても、約束の裏付けと相手の正体は確かめる必要があります。

怪しい話をすべて見破る知識がなくても、分からないまま送金するのは止められます。迷ったときは、勧誘する相手の説明だけで結論を出さず、勧誘の外にいる人へも相談する。その行動も、お金を守るための知識です。

教授のコメント

投資の広告が気になったら、その画面を閉じて、会社の公式情報を別に探してみましょう。

出典

本文の制度の数値は 2026-09-23 に確かめたものです。改定されることがあるので、申込や手続きの前に公式の記載をご確認ください。

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