お金の基本/第 3 回(全 12 回)
3 万円の靴を「月々 5,000 円」で。何回払って、手数料はいくら?
リボ払いの残高・支払期間・手数料の関係を知る

3 万円は厳しくても、月々 5,000 円なら払えそう。欲しいものを前にすると、そんなふうに考えることがありますね。今回はその 5,000 円を何回払うことになるのか、買い物の続きを見てみましょう。
3 万円の靴が欲しい。でも一度に 3 万円払うのはちょっと厳しい。そんなとき、お店の人からこう言われました。「月々 5,000 円で買えますよ」。
5,000 円なら払えそうです。ではこの靴は買っても大丈夫でしょうか。今回はこの「月々 5,000 円」を少し疑ってみましょう。
3 万円の靴なら、月 5,000 円で 6 か月
今回はリボ払いで靴を買うとします。話を簡単にするため、まずは手数料を考えず、毎月 5,000 円ずつ代金を払うとしてみましょう。3 万円 ÷ 5,000 円 = 6 回。つまり半年払えば終わりです。ここまでは簡単ですね。
では 1 回目の 5,000 円を払ったあとに、今度は 3 万円のカバンが欲しくなったとします。そのときまたこう言われました。「これも月々 5,000 円のままで大丈夫ですよ」。
毎月の支払いは増えません。5,000 円のままです。なんとなく「それなら買っても大丈夫そう」に見えませんか。
5,000 円払った。でもそのあと 3 万円使った
ここで残っている支払いを見てみましょう。靴は 3 万円でした。1 回目に 5,000 円払ったので、残りは 2 万 5,000 円。ここに 3 万円のカバンを買います。すると、
| 内容 | 残っている金額 |
|---|---|
| 靴 | 25,000 円 |
| カバン | 30,000 円 |
| 合計 | 55,000 円 |
になります。ちょっと不思議ですね。最初は 3 万円だったのに、5,000 円払ったあとには残りの支払いは 5 万 5,000 円になっています。なぜでしょう。
難しい話ではありません。5,000 円減らしたあとに、3 万円増やしたからです。 差し引きすると 2 万 5,000 円増えています。毎月ちゃんと払っていても、それ以上に買い足していけば残っている支払いは減りません。むしろ増えていきます。
月 5,000 円なのに、支払いは約 1 年続く
ではこの 5 万 5,000 円を毎月 5,000 円ずつ払うとどうなるでしょう。55,000 円 ÷ 5,000 円 = 11 回。つまりこの時点からあと 11 回です。最初の支払いも合わせると、全部払い終わるまで約 1 年。
最初は「3 万円の靴を半年で払う」という話でした。ところがカバンを追加したことで、「6 万円分の買い物を約 1 年かけて払う」話に変わっています。それでも毎月の支払いは 5,000 円のままです。ここがリボ払いの分かりにくいところです。
「月々いくら?」だけ見ても、値段は分からない
考えてみると当たり前なのですが、月 5,000 円という数字は商品の値段ではありません。 3 万円の靴も、6 万円の買い物も、もっと高い買い物も、支払い方によっては「月 5,000 円」にできます。違うのは何回払うかです。たとえば、
- 月 5,000 円 × 6 回 = 3 万円
- 月 5,000 円 × 12 回 = 6 万円
- 月 5,000 円 × 24 回 = 12 万円
全部「月々 5,000 円」です。でも同じ買い物ではありませんよね。
「払える」と「買える」は少し違う
月 5,000 円を出せるからといって、その商品を無理なく買えるとは限りません。見るべきなのは、今月 5,000 円払えるかだけではなく、その 5,000 円をあと何か月払い続けるのかです。
たとえば半年なら、「半年間なら毎月 5,000 円出せそう」と考えられます。でも 2 年続くならどうでしょう。その間にスマホが壊れるかもしれません。旅行に行きたくなるかもしれません。また別のものが欲しくなるかもしれません。
これから何か月も払う 5,000 円は、その間、ほかのことには使えません。
しかも本当は手数料もかかる
ここまでは分かりやすくするため、手数料を無視してきました。実際のリボ払いでは多くの場合、残っている支払いに応じて手数料がかかります。つまり 3 万円の靴を買ったからといって、最終的な支払いが 3 万円で終わるとは限りません。支払いが長くなるほど、手数料が増えることもあります。
なので本当に知りたいのは「月々いくら?」だけではありません。「最後まで払ったら、全部でいくら?」です。
でも毎月ちゃんと払っているよ?
リボ払いを使っていると、毎月 5,000 円ずつ同じ金額が口座から引き落とされます。すると、「ちゃんと返している」という感覚になりやすくなります。
もちろん実際に払っています。ただし 5,000 円払った月に新しく 3 万円使えば、5,000 円減らして、3 万円増やしたことになります。
だから見るべきなのは「今月いくら払ったか」だけではありません。カードの利用明細にある「支払残高」も見てみてください。これは簡単にいえばまだ払っていない金額です。
先月より減っていれば、支払いは進んでいます。反対に毎月払っているのに支払残高が増えているなら、返す以上に使っているということです。
じゃあリボ払いは使ってはいけないの?
必ずしもそういう話ではありません。今回知ってほしいのは「月々 5,000 円だから大丈夫」とは判断できないということです。
たとえば「半年間なら毎月 5,000 円と手数料を無理なく払える」と分かっているなら、一つの選択肢にはなります。一方で、「いつ払い終わるのか分からない」「すでに別の買い物もリボ払いにしている」という状態で新しい買い物を足すと、支払いが終わる日はさらに先に延びます。
急いで買う必要がないなら、毎月 5,000 円ずつ貯める方法もあります。6 か月で 3 万円です。手に入るのは半年後ですが、その 3 万円で買えばこの靴のためのリボ払いの手数料はかかりません。
財部教授の「あと何回?」チェック
「月々○円で買えます」と言われたら、3 つだけ確認してみましょう。
- 月々いくら? 毎月いくら払うのか。
- あと何回? 何か月払い続けるのか。すでに別のリボ払いがあるなら、それも合わせて考えます。
- 最後まで払うと全部でいくら? 商品代だけではなく手数料まで含めた総額を確認します。
差が出るのは「あと何回?」です。月 5,000 円でも、6 回なら 3 万円、12 回なら 6 万円、24 回なら 12 万円。同じ「月 5,000 円」でも意味はまったく違います。
今日の研究結果
「月々 5,000 円で買えます」。これは嘘とは限りません。でもそれだけでは情報が足りません。
今回の例では 3 万円の靴を買って、5,000 円払ったあと、さらに 3 万円のカバンを買いました。すると 5,000 円払ったのに、残っている支払いは 3 万円から 5 万 5,000 円に増えました。毎月の支払いは変わらなくても、支払いが終わる日はどんどん先に延びていきます。
だから「月々いくら?」を見たら、「あと何回?」も見る。 そしてもう一つ「最後まで払ったら、全部でいくら?」。ここまで分かって初めてその買い物の値段が見えてきます。

