財部(たからべ)教授のお金の研究室

日本のお金の歴史/第 1 回

1,000 年以上前のお金の話が、今の私に関係ある? 今のお札と昔の銭を 3 つの問いで見比べる

今のお札と昔の銭を、3つの問いで見比べる

2026年9月28日に公開約5分で読めます

お金の研究室へようこそ。案内役の財部です。このゼミでは、昔の人がお金をどう使っていたかをたどりながら、今のお金の当たり前を、違う時代から見直します。

昔のお金の話と聞くと、古い硬貨や年号を思い浮かべるかもしれません。今の買い物や貯金に、どんな関係があるのでしょう。

歴史をたどると、今のお金が当たり前に使える理由を考えやすくなります。例えば、日本の店で1,000円札を出すとき、「このお札を受け取ってもらえるだろうか」と心配することは、あまりありませんね。では、お札が外国のものに替わったらどうでしょう。

外国のお札は、同じ「お札」なのに使いにくい?

旅行で余った外国のお札を同じ店で出しても、受け取ってもらえないことが多いはずです。ところが、昔の日本では、中国から来た銭が広く使われた時代があります。外国から来たお金なのに、どうしてでしょうか。

ここでいう銭(ぜに)は、銅などで作った丸いお金です。真ん中には四角い穴があいています。 このゼミでは、そんな銭から、今のお札や電子マネーまでたどります。

昔と今の違いは、次の3つを聞くと見えてきます。

  1. 何と、どれだけ交換できるか。
  2. どこで、誰が受け取ってくれるか。
  3. その状態を、誰がどうやって支えているか。

1,000円札と10米ドル札を比べる

仮に、財布に1,000円札と、アメリカ旅行で余った10米ドル札が1枚ずつあるとします。この2枚を、先ほどの3つの問いで比べてみましょう。

問い 1,000円札 10米ドル札
何と、どれだけ交換できる? 日本の店で1,000円分の買い物ができる 円に両替できれば、日本での買い物に使える。何円になるかは交換するときの比率による
どこで、誰が受け取る? 日本の多くの店で受け取ってもらえる 日本のふつうの店では、受け取ってもらえないことが多い
誰が、どう支える? 日本銀行が発行し、法律で円の支払いに使えると定めている 米国では、連邦準備制度が発行し、法律で借金などの支払いに使えると定められている

同じ「お札」でも、3つの問いへの答えは違います。 昔のお金も、この3つで見比べられます。

例えば、中国から来た銭は、12世紀半ばごろから日本に入り、13世紀には人々の間に広まりました。当初は使用を認めていなかった鎌倉幕府や朝廷も、後から認めています。今の外国のお札との違いを考えるとき、まず「どこで、誰が受け取っていたか」を確かめる。そこから「何と交換できたか」「誰が、どんな仕組みで使えるようにしていたか」へ進む。それが、このゼミの読み方です。

各回で取り上げる時代とお金

各回で取り上げるのは、その時代のお金の一例です。同じ時代に別のお金も使われていました。例えば江戸時代には、金・銀・銭のほか、各地の藩が発行した紙のお金(藩札)も流通しました。

回・時代の目安 取り上げるお金 確かめること
第2回・8〜10世紀 国が作った銭 国が作っても、なぜ使われなくなった?
第3回・12〜16世紀 中国から来た銭 日本で、誰が受け取った?
第4回・江戸時代 金・銀・銭 3種類をどう使い分け、交換した?
第5回・明治の初め 政府や銀行が出した紙幣 同じ紙幣で買える量はなぜ変わった?
第6回・明治から昭和 日本銀行のお札 金との交換の約束はどう変わった?
第7回・1946年 預金と新しいお札 預金を引き出せないのは、物価のせい?
第8回・現在 電子マネーの残高 どこで使え、現金に戻せる?

表の年代は、各回で扱う時期の目安です。第5回では1871年に「円」が生まれた後の紙幣、第6回では1885年に初めて発行された日本銀行のお札も取り上げます。

年号や人名を覚えないと、ついていけない?

年号や人名を覚えていなくても読み進められます。出てきたときには、「その時代の人は、なぜそうしたのだろう」と考えるきっかけにしてみてください。例えば中国から来た銭の話なら、「誰が受け取ったのか」に加えて、「なぜ外国のお金を受け取ろうと思ったのか」。当時の事情を知ると、今の自分ならどうだろう、と考えることもできます。

ゼミ「お金の基本」では、今の買い物や貯金で迷う場面から、お金の仕組みを考えました。このゼミでは時代を順にたどり、今のお金の仕組みができるまでを確かめます。第1期を読んでいなくても、ここから読み始められます。

財部教授の30秒チェック

財布にあるお金を一つ選んでください。手元になければ、ふだん使うお札を思い浮かべてもかまいません。

  1. 何と、どれだけ交換できますか。
  2. どこで、誰が受け取ってくれますか。
  3. その状態を、誰がどうやって支えていますか。

答えがすぐに出ない問いがあっても大丈夫です。この先の各回で、昔のお金についても、同じ問いで確かめていきます。最後の第8回で、手元のお金に戻ってきます。そのとき、今日答えられなかった問いに自分の言葉で答えられるか、確かめてみてください。

今日の研究結果

銭や紙幣、電子マネーの残高など、お金にはさまざまな形があります。時代によって使われる形は異なりますが、何と交換できるか、誰が受け取るか、誰がその状態を支えるかを聞けば、昔のお金も今のお金も同じ問いで考えられます。

次は、国が作ったお金が使われなくなった時代から始めます。今のお金の話から読みたい人は、第1期の第1回「残高10万円。でも使えるお金は5,000円?」もどうぞ。

教授のコメント

財布のお金を一つ選んで、「何と交換できるか」「誰が受け取るか」「誰が支えているか」を考えてみてください。答えに迷ったところが、歴史をたどる入口になります。

出典

本文の制度の数値は 2026-09-28 に確かめたものです。改定されることがあるので、申込や手続きの前に公式の記載をご確認ください。

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