財部(たからべ)教授のお金の研究室

社会人一年目のお金/第 3 回

「月々 5,000 円」で買った 15 万円のパソコン。払い終わるのはいつで、手数料はいくら?

リボ払いの支払残高と手数料率から払い終わる月と手数料の合計を出し、一括払いのままの場合と並べる

2026年10月9日に公開約6分で読めます

7 月、陽太さんはパソコンを一括払いで買い、8 月にカード会社の案内で「月々 5,000 円」のリボ払いに変えました。手数料率の 15.0% と計算の仕方は、大手カード会社が公開している値と式に合わせ、1 円単位まで計算しています。

7 月 4 日の土曜日、陽太は駅前の家電量販店にいた。見るだけのつもりだった。

4 月から欲しかったノートパソコンは、税込みで 150,000 円。先月の給料日に書き出したメモでは、次の給料日まで自由に使えるお金は 138,182 円だった。12,000 円足りない。だから今日は、買わない。

値札の前で、陽太は先月分かったことを思い出した。カードで払った分は、引き落としの日まで口座から出ていかない。今日カードで買えば、引き落としは 8 月 27 日。7 月 25 日の給料が入ったあとだ。

「それなら、払える」

レジで、カードを出した。一括払いで、150,000 円。その夜、陽太は新しいパソコンを開いて、動画を見た。銀行のアプリの残高は、朝と同じ 198,382 円のままだった。

7 月 25 日に給料が入り、31 日に 8 月分の家賃を払った。8 月 1 日、カード会社のアプリから通知が届いた。

「8 月 27 日のお引き落とし金額が確定しました 150,000 円」

分かっていた数字のはずだった。それでも、陽太はメモを開いて引き算をした。8 月の自由に使えるお金は 219,638 円。150,000 円を引くと、69,638 円。同期と約束した夏の旅行は、たぶん無理だ。

通知の下に、別の案内が出ていた。

「お支払いをリボ払いに変更できます。月々 5,000 円から」

5,000 円なら、飲み会を 1 回減らせば済む額だ。219,638 円から 5,000 円を引いても、214,638 円残る。旅行にも行ける。陽太は「変更する」を押した。毎月のお支払い額は、5,000 円を選んだ。

翌朝、通知が届いた。

「8 月 27 日のお引き落とし金額が変更されました 6,875 円」

6,875 円。5,000 円と手数料の 1,875 円だ。案内の通りで、払える額だった。陽太は通知を閉じようとして、利用明細の画面に、見慣れない行があるのに気づいた。

「リボ払い 支払残高 150,000 円」 「手数料率 実質年率 15.0%」

150,000 円。パソコンの値段が、そのまま残っている。1 回目の引き落としは、まだ先だから当然だった。

150,000 円を、毎月 5,000 円ずつ。陽太は頭の中で割ってみた。30 回。2 年半だ。

手数料は、毎月 1,875 円ずつかかるのだろうか。それなら 30 回で 5 万円を超える。案内には「月々 5,000 円から」としか書いていなかった。あと何回払うのかも、書いていない。

月 5,000 円なら、と思って変えた払い方だった。全部で、いくら払うことになるんだろう。

陽太さんの明細を 30 回分並べる

物語はここまでです。ここからは私が、陽太さんの利用明細を 30 回分並べて、全部でいくら払うのかを確かめます。

回数は、陽太さんの計算どおり 30 回です。手数料のほうは、毎月 1,875 円ではありません。

陽太さんのカードのリボ払いは、毎月 5,000 円を代金にあて、手数料を上乗せして引き落とします。手数料は、まだ払っていない代金(支払残高)× 年率 15.0% ÷ 12 です。

回 引き落とし 払う前の支払残高 代金にあてる分 手数料 引き落とし額
1 2026 年 8 月 27 日 150,000 円 5,000 円 1,875 円 6,875 円
2 9 月 27 日 145,000 円 5,000 円 1,812 円 6,812 円
3 10 月 27 日 140,000 円 5,000 円 1,750 円 6,750 円
…
29 2028 年 12 月 27 日 10,000 円 5,000 円 125 円 5,125 円
30 2029 年 1 月 27 日 5,000 円 5,000 円 62 円 5,062 円
合計 150,000 円 29,055 円 179,055 円

150,000 円のパソコンに、陽太さんは 179,055 円を払います。 払い終わる 2029 年 1 月、陽太さんは 24 歳です。

手数料が毎月減るのは、支払残高が 5,000 円ずつ減るからです。1,875 円が 30 回続くわけではなく、合計は 3 万円足らずです。

案内に書いていなかった 2 つの数字

「月々 5,000 円」は、嘘ではありません。ただ、支払いの合計を出すには、あと 2 つの数字が要ります。

1 つは回数です。案内にも、通知にも書いてありません。支払残高 150,000 円 ÷ 5,000 円 = 30 回と、自分で割って出します。2 年半のあいだに別の買い物をリボ払いに足せば、支払残高が増えて、回数も延びます。

もう 1 つは手数料率です。利用明細の「実質年率 15.0%」がそれで、申し込みのときの案内にも書いてあります。率はカード会社とカードで違います。

1 か月待っていたら

陽太さんが 8 月 1 日にした引き算を、第 2 話と同じ形で並べます。

金額
7 月 24 日の残高(6 月 25 日の自由に使えるお金と同じ) 138,182 円
7 月の給料(7 月 25 日) +216,656 円
8 月分の家賃(7 月 31 日) −75,000 円
電気・ガス・水道・スマホ(8 月初め) −15,200 円
食費・日用品(8 月 24 日まで) −45,000 円
8 月 25 日まで自由に使えるお金 219,638 円

一括払いのままなら、8 月 27 日に 150,000 円が出ていき、手数料は付きません。その代わり、8 月の自由に使えるお金は一度に 150,000 円減って、69,638 円になります。リボ払いに変えると、減るのは毎月 6,000 円前後です。その代わり、2 年半の引き落としと 29,055 円の手数料が付きます。

8 月の 69,638 円で暮らせるか、それとも 2029 年 1 月まで毎月 6,000 円前後を出し続けるか。陽太さんが「変更する」を押す前に見比べられたのは、この 2 つの数字でした。

陽太さんの問いに戻る

月々 5,000 円のパソコンに全部でいくら払うのか。答えは 150,000 円ではなく、手数料を足した 179,055 円でした。払い終わるのは 30 回目の 2029 年 1 月です。

今回分かったことを、3 つにまとめます。

  • 「月々 5,000 円」だけでは、支払いの合計は分からない。回数(支払残高 ÷ 毎月の額)と手数料率が要る
  • 手数料は、まだ払っていない代金に率を掛けて決まる。回数が多いほど合計は増える
  • 一括払いのままなら手数料は無いが、自由に使えるお金は一度に 150,000 円減る。リボ払いに変えると毎月 6,000 円前後になる代わりに、29,055 円の手数料と 2 年半の引き落としが付く

教授のコメント

8 月 1 日の陽太さんの立場で、「リボ払いに変更できます。月々 5,000 円から」の案内を見たら、「変更する」を押す前に何を確かめますか。

出典

  • 日本クレジット協会「リボ払いの特徴と利用上の注意」。毎月の支払額が支払残高に応じて決まること、手数料が支払残高に手数料率を掛けて計算されること、支払期間は自分で決められず新しい買い物で延びること、支払残高の一部または全部をまとめて払えることを参照。https://www.j-credit.or.jp/customer/basis/revolving.html 。2026-10-08 に確認
  • 三井住友カード「リボ払いについて」。手数料が実質年率 15.0% であること、毎月の支払額が元金(コース別の一定額)+前月末のリボ払い利用残高 × 実質年率 15.0% ÷ 12 か月で計算されることを参照。https://www.smbc-card.com/memfs/revo/about/index.jsp 。2026-10-08 に確認
  • 金融庁「基礎から学べる金融ガイド」冊子 21 ページ「クレジット/ローン」。クレジットが後払いであること、分割払いやリボ払いには手数料がかかることを参照。https://www.fsa.go.jp/teach/kou4.pdf 。2026-10-08 に確認

本文の金額、毎月の支払額、締め日と引き落とし日は、架空のカードの例です。手数料率 15.0% と計算式は上の出典の公開値に合わせましたが、率と計算方法はカード会社と契約で違い、改定もされます。自分のカードの率と計算方法は、カード会社の案内で確かめてください。

本文の制度の数値は 2026-10-09 に確かめたものです。改定されることがあるので、申込や手続きの前に公式の記載をご確認ください。

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