財部(たからべ)教授のお金の研究室

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こどもNISA、親が出したお金の使い道は誰が決める?

親の口座と子どもの口座で、使うときに何が違うかを確かめる

2026年9月27日に公開約5分で読めます

2027 年 1 月から、投資で得た利益に税金がかからない NISA を、子どもの名前でも使えるようになります。親が出したお金の使い道は、誰が決めるのでしょう。

「子どもが大きくなったら、進学に使えるように」。親がそう考えて、子ども名義の NISA(こどもNISA)で、生まれた月から毎月 1 万円を積み立てるとします。高校を卒業するまでのおよそ 18 年で、積み立てた額は約 216 万円です。大学の入学金を払う時期になったら、親はこの口座から引き出せるのでしょうか。

答えは、親だけでは決められません。そのころ、こどもNISA は子ども自身が動かす口座になっています。どういうことか、同じ積み立てを親自身の NISA でした場合と比べてみましょう。

18 年積み立てると、口座を動かせるのは誰?

どちらの口座でも、毎月 1 万円で同じ投資信託を買うとします。投資信託は、集めたお金を専門家がまとめて株式などに投資する商品です。実際には値下がりすることもあり、元本は保証されませんが、ここでは値上がりや値下がりは考えません。

時期 親の NISA こどもNISA
中学に入る年の前の年まで 親が売って引き出せる 原則として、親も引き出せない
中学に入る年の 1 月から 親が売って引き出せる 子どもの同意を得て、子どもの教育費や生活費に使う場合だけ引き出せる
高校を卒業する年の 1 月から 親が売って引き出せる 引き出しの制限がなくなり、18 歳からは子どもが自分で動かす

親の NISA は最後まで親が動かせますが、こどもNISA は、中学に入るまで親も引き出せず、高校を卒業するころからは子どもが動かす口座になります。 区切りは誕生日ではなく、その年の 3 月 31 日に何歳かで決まります。そのため、表では学年で書いています。

「親が出したのだから、親が使っていい?」

親が出したお金でも、こどもNISA に入れたあとは、親の都合だけでは引き出せません。中学に入る年からは引き出せますが、子どもが同意したことを示す書面と、子どもの教育費や生活費に使うという申出書を、親が金融機関へ出します。

たとえば、親が「車の修理代が急に要るから、この積立から払おう」と考えたとします。親自身の NISA なら、親が売ると決めれば引き出せます。こどもNISA では、子どもの教育費や生活費でなければ引き出せません。

お金を入れる段階では、贈与税のルールも関わります。親のお金を子ども名義の口座へ入れると、税金のうえでは親から子どもへの「贈与」になります。1 年間に受けた贈与の合計が 110 万円までなら贈与税はかからないので、この例の年 12 万円ならかかりません。祖父母などからも贈与を受けたなら、合わせた額で確かめます。

「それなら、親の口座で備えればいい?」

親の口座でも、子どもの学費に備えることはできます。親の口座で増やしたお金から、入学金や授業料を親がそのつど払うなら、教育費として必要な分に贈与税はかかりません。ただし、まとめて子どもに渡して預金させたり、投資に回させたりすると、贈与税の対象になります。

一方、こどもNISA には、親の NISA とは別に、子ども用の上限があります。1 年に入れられるのは 60 万円まで、持っていられるのは合計 600 万円までです。親が自分の NISA を老後のためなどに使っていても、それとは別に積み立てられます。その代わり、買えるのは長く積み立てる向きとして決められた投資信託だけです。

親が支払う時期や金額を自分で決めたいのか、子どものお金として渡しておきたいのか。どちらの口座が合うかは、その考え方で変わります。

大学に入るころ、親と子の考えが違ったら

こどもNISA で積み立てたものは、子どもが大人になると、大人の NISA へ自動で移ります。親名義の口座へ戻る仕組みではありません。

たとえば、親は「大学の入学金に」と考え、子どもは「卒業後まで持っておきたい」と考えることもあります。どちらが正しいかは、この制度だけでは決まりません。こどもNISA で積み立てるなら、親が出すお金を何に使ってほしいのか、子どもが成長したときに話せるようにしておきたいところです。

財部教授の 30 秒チェック

積み立て先を決める前に、次の 3 つを書き出してみてください。

  1. お金を出すのは誰で、口座の名義は誰にする?
  2. 何歳ごろ、何の支払いに使うつもり?
  3. そのとき、使い道を誰と決めたい?

3 つ目にすぐ答えが出なくても構いません。親が支払うお金として備えるのか、子どもが自分で使うお金として渡すのか。そこを家族で話すと、どちらの口座で備えるか考えやすくなります。

今日の研究結果

親の NISA で積み立てたお金は、最後まで親が使い道を決められます。こどもNISA では、中学に入るまでは親も引き出せず、高校を卒業するころからは子どもが決めます。将来、誰と使い道を決めたいかを考えてから、口座を選んでみてください。

教授のコメント

積み立てる前に「何のために使ってほしいか」を、子どもにどう伝えるか考えてみてください。

出典

  • 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」。未成年向けつみたて投資枠の開始時期、0〜17 歳の年間投資枠(60 万円)と非課税保有限度額(600 万円)、対象がつみたて投資枠の投資信託であること、払出しに子の同意を示す書面と親権者等の申出書が要ること、18 歳での移行を参照。資料 PDF。確認日:2026-10-03。
  • 金融庁「アクセス FSA 第270号」。子どもの口座が成人向けのつみたて投資枠へ自動移行する説明を参照。資料。確認日:2026-09-25。
  • e-Gov 法令検索「租税特別措置法」(令和9年1月1日施行版)第37条の14。払い出せるようになるのが「その年三月三十一日において十二歳である年」からで、それより前は災害などのやむを得ない場合を除き払い出せないこと、払い出す理由が子どもの教育費又は生活費に限られること、制限が「その年三月三十一日において十八歳である年」の前年末までであることを参照。資料。確認日:2026-10-03。
  • 財務省「令和8年度 税制改正(国税)等について」。改正法の成立と未成年向け NISA の説明を参照。資料。確認日:2026-09-25。
  • 国税庁「NISA制度」。NISA で非課税となる所得の範囲を参照。資料。確認日:2026-09-25。
  • 国税庁「贈与税がかかる場合」。1 年間に受けた贈与の合計が 110 万円以下なら贈与税がかからないこと(暦年課税の基礎控除)を参照。資料。確認日:2026-09-25。
  • 国税庁「贈与税がかからない場合」。扶養義務者から受けた生活費・教育費が非課税になる条件と、必要な都度直接充てるものに限られ、預金や株式などの買入資金に充てた場合は贈与税がかかることを参照。資料。確認日:2026-10-03。

毎月 1 万円の積立は説明用の例です。投資成果や税額を示すものではありません。

本文の制度の数値は 2026-10-03 に確かめたものです。改定されることがあるので、申込や手続きの前に公式の記載をご確認ください。

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