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200 円おごってもらったら、200 円返せば終わり? 贈与で受け取るもの
貸してもらった 200 円と、おごってもらった 200 円を並べて、おごりで受け取るものと、それに応えるやり取りを確かめる

友達にジュースをおごってもらった次の日、200 円を返そうとしたら「いいって」と言われた。そんな場面から、おごりで受け取るものは何かを考えてみましょう。
部活の帰り、友達と自動販売機の前に立ったとき、あなたは財布を忘れたことに気づきました。ジュースは 200 円です。
ここから、話が 2 通りに分かれるとします。1 つ目は、あなたが「200 円貸して。明日返すね」と頼み、友達が出してくれる場合。2 つ目は、友達が「いいよ、今日は私がおごる」と言って出してくれる場合です。
どちらも、友達の財布から 200 円が出て、あなたはジュースを飲みました。次の日、あなたは 200 円を持って学校へ行きます。1 つ目なら、200 円を返せば話は終わります。2 つ目も、200 円を返せば終わるのでしょうか。
同じ 200 円、何が違う?
違いは、お金を受け取ったときに「返す」と約束したかどうかです。
| 貸してもらった 200 円 | おごってもらった 200 円 | |
|---|---|---|
| 友達が出した額 | 200 円 | 200 円 |
| 受け取るときの言葉 | 「明日返すね」 | 「今日は私がおごる」 |
| 返す約束 | ある | ない |
| 次の日に 200 円を渡すと | 約束どおりに返して、貸し借りがなくなる | 返す約束のないものに、同じ額を返すことになる |
民法という法律は、お金を借りることを、同じ額を返すと約束して受け取ることだと定めています。貸してもらった 200 円には、受け取ったときから、返す約束が付いています。
おごりは、法律の言葉でいえば「贈与」に近いものです。民法では、贈与は、一方がただで与えると伝え、もう一方が受け取ると決めたときに成り立ちます。ここには、返す約束がありません。
おごりで受け取ったものは?
自動販売機でジュースを買うときは、200 円を入れてジュースを受け取れば、それで終わりです。次の日に自動販売機のことを思い出す人はいません。お金とジュースが同じ値打ちで入れ替わり、あとに何も残らないからです。お金は、相手が誰でも、同じ額を渡せばやり取りを終わらせられる道具でもあります。
貸してもらった 200 円も、同じ額を返せば足ります。約束したのが、200 円というお金の額だからです。
おごりは、これとは違います。あなたが受け取ったのは、200 円のジュースだけではありません。財布を忘れて困っていたとき、友達は、あなたになら出してもいい、あなただから出したいと思ってくれた。その気持ちも一緒に受け取っています。次の日に何か返したくなるのは、そのためでしょう。
ところが、200 円のお金で返すと、応えられるのはジュースの代金の分だけです。友達のその気持ちのほうは、お金の額には表れません。友達が「いいって」と受け取らないのは、ジュースの代金を払ってほしかったわけではないと、無意識に感じているからかもしれません。
同じ額にそろえないお返し
では、何で返せばいいのでしょうか。法律の上では返す約束がないので、決まった返し方もありません。
返し方は、200 円のお金だけではありません。次の日の「昨日はありがとう、助かった」のひと言。友達が困っているときに、今度はあなたが手を貸すこと。好きなお菓子を半分分けること。
どれも 200 円ぴったりの値打ちではなく、次の日にすぐ済ませるものでもありません。だから差し引きゼロにはならず、2 人の間に何かが少し残ります。出したり出してもらったりが何度か続いても、どちらが何円多く出したかを数える人は、あまりいないでしょう。数えないまま続くやり取りが、友達どうしのつながりの一部になっています。今度困ったときにこの友達なら頼れる、と思えるのも、そうしたやり取りがあるからです。
一方で、おごってもらうのが続くと、落ち着かなくなることもあります。そんなときに「今日は自分で払うね」と伝えるのも、受け取る側からの応え方の一つです。
財部教授の30秒チェック
誰かがおごってくれたら、次の 3 つを考えてみてください。
- 受け取ったのは、200 円のジュースだけ? あなただから出したい、という友達の気持ちも受け取っています。
- 「同じ額で返さないと」と思っていない? 「ありがとう」のひと言や、今度は自分が出すことも、お返しになります。
- 自分がおごった側なら、次の日に 200 円を返されてどう感じる?
今日の研究結果
貸し借りは、同じ額を返せば終わります。おごりには返す約束がなく、受け取るのはお金の額だけではありません。あなただから出したいと思ってもらえた気持ちを受け取り、ひと言や、相手が困ったときに手を貸すことで応える。額をそろえないまま続くそのやり取りが、友達どうしのつながりになっていきます。
「200 円返せば終わり?」と迷ったら、自分が受け取ったのは 200 円だけだったのかを考えてみてください。

